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CABARET LPT Vol.3 The Time Travellers 1 +推薦書評!

CABARET LPT Vol.3 The Time Travellers 1 +推薦書評!

img_1679去る11月23日(水・祝)、19:00-21:30まで当店貸し切りにて、香水ブログ「LA  PARFUMERIE  TANU」様の主催による、クラシック香水のトークイベントが開催されました。ついに三度目の開催となる今回は、ついにfumikuraの客様からの応募もあり、いつもの満員御礼に加え異例の入場制限が掛かるほどでした。講演内容は 【CABARET LPT  Vol.3 The Time Travellers 1_ザ・タイム・トラベラーズ(前編)_】ということで、名香の“当たり年”だった1978年に発売された香水という水平軸の中で、各種特徴のある香りを体系的に縦軸(インスパイア系譜)で紹介。TANU様による専門性と質の高い講演はまさに縦横無尽。絶妙なユーモア(インスパイア系を“ジェネリック”と呼ぶなど)を交えてご参加のみなさまを惹き込んでいきました。この度も御来賓に香水評論家で香水専門誌PARFUM編集長の平田幸子先生をお招きし、また皆勤賞で参加頂の方などリピートも高く、その上でfumikuraのお客様が入り乱れ、開場前から既にプレ回状態に(笑)。会場としては嬉しい限りです。詳しい内容(紹介品)に関しては前回からLPT様のブログに詳細が掲載されておりますが、トーク内容はさらに深く際どい表現に差し替えられている所もあり、写真撮影やSNS等への投稿は御法度。そして何よりこのトークセッションではムエット(試香紙)による実際の香りを体感しながら比較できることもあり(今回はなんと11種類!)、今回も盛況のうちに幕を閉じました。懇親会ではボトル実物を手に取ることも出来(今回からボトル展示の特設コーナーを設置)、終始和やかに進みあちこちで話題の花が咲いていました。私も毎回のごとく、提供側の立場でありながら、隙あらば耳を大きくして聞き入っていました。(笑)

まずは恒例のオープニング動画&登場シーンで期待が高まります。今回はfumikuraの「王室&皇室フェア」に合わせて?タイのプミポン国王追悼ということで、LPTスタッフ全員が何らかのタイ衣装(tanuさんのタイパンツやジェントルマン氏のガネーシャTシャツなど)にて登場。内容に関しましては「LA  PARFUMERIE  TANU」様のブログに詳しく書かれていますのでご参照下さい。(12/3の記事にイベントの詳細が書かれています。)門外漢の私が書けることは限られているのですが、レポートを少しだけ失礼します。

毎回驚かされるTANUさんの切り口、今回は“当たり年”という編年の切り口でした。同じ分野でも見方を変えれば受ける印象もガラリと変わります。切り口が多いというのは多角的に様々な面から香水を深く見つめている査証。重ねた知識を並べ立てるのではなく、常に深い洞察に根差したテーマの切り取り方は、新しくスタートした「ポラロイド」のシリーズとも重なり、私たち聴き手に鮮明な印象を与えてくれます。例えば、今回は一部の潜入動画(ジェントルマン氏撮影)がありますので、そちらをご覧下さい。

今回改めて感じたのは、TANUさんの語彙の豊富さです。例えば、<スタイリッシュうっふん系>で登場した「幼児成熟」と言う言葉。ピーターパンシンドロームにも似た、大人になりたくないのか成りきれないのか解らないような人が(男性/女性問わず)確実に増えている日本。香水の持つ「明文化できない色っぽさ」、秘められた香り、というのが求められなくなり、そう言えば自分も、そして周囲を見ても香水を自分に合わせて身にまとっている人をなかなか見かけなくなりました。ユニセックスな香りが溢れているのも、いやはやなんとも、香水には受難の時代なんでしょうか。TANUさんは一部で香水の尺度(その時は中毒度)を“殺傷力”に例え、名前をもじって片や麻薬(アヘン)、片やジェネリックには珈琲(カフェイン)と、その場に応じた機知のあるトーク回しを展開(笑)されていました。

TANUさんの毒舌評価はいわば「愛のあるイジリ」。ワインの味わいの表現には一見「え?それって酷くない?」と思えるものも少なくありません。ワインの味わいは「加点法」で、強烈なクセも個性として「とにかく褒める」事から始まる。日本酒は「減点法」で評価が決まるので、ワインと比べて没個性になりやすいなどと言われますよね。まさに香水でもそのようなワイン的「加点法」なのがTANUさん流なんだなぁと。酷い言葉の裏側には、必ずその香水の持つ個性が透けて見える。それも、ワイン漫画にありがちな抽象的な表現で煙に巻くのではなく、参加者の層を読んだ上で、共感の得られる言葉を選んでいる語彙力が、毎度聞いていて心地よく感じる理由なのかな、と。そして裏を返せば、今の日本の香水事情も日本酒の批評と同じ扱いなのではないか?とも感じました。毎度毎度、役得ですね(^_^)

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また、少し記事が戻りますが、今月からfumikura店内浮島の特設コーナーで始まった「お客様のご推薦、この1冊!」、TANUさんにトップバッターを務めて戴きました(^_^) ロジャ・ダヴさんの香水ボトル実物展示の上、ムエットのプレゼント付きという大盤振る舞い。更にフェア途中でボトルが変わり、新しいムエットも御提供戴きました。

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<TANUさんによる「フォトグラフィー香水の歴史」by:ロジャ・ダヴの書評がこちら>

ISBN 978-4-562-04548-8 C0098
 
老舗香水ブランド、ゲランの熱狂的なファンから正式採用され、ゲランの教育広報部で職を得ながら世界で唯一の「香水学教授」の肩書きを与えられ、果ては同族企業であるゲラン一族以外の人間としては初のゲラン・グローバル大使にまで任命されたにとどまらず、ゲラン卒業後はハロッズに自らの香水店を開店、そして手ずから調香した香水を発売するに至った、フレグランスの世界的権威、ロジャ・ダブ。「フォトグラフィー 香水の歴史」は、彼が初めて書き下ろした著作、The Essence of Perfume’第1版の訳本で、2010年3月に発刊されました。さすが香水学の権威だけあって、タイトル通り香水の歴史から香水の原料である香料の解説、そして時系列で名香の列伝、歴史的ブランド紹介、ボトルコレクションなどなど、とても300ページ弱の本とは思えないほど、様々な角度から香水を知ることの出来る、現時点で国内入手可能な、日本語で書かれた書籍としては、最高の香水指南書及び評論本だと思います。この本は、時代ごとの代表作を丁寧に紹介している項がハイライトとなりますが、日本語監修をフランスで活躍している日本人調香師、新間美也さんが行っているので、特に香料関連の項は非常にわかりやすく、かつ信憑性があり、単なる香料カタログに終わっていない所も、ロジャ氏の簡潔かつ奥の深い香水評論を読み進めていく上で地味に効いています。翻訳も知的で滑らかなので、通読も苦にはなりません。アンティークボトルの項も、希少なヴィンテージ満載で、ボトルファンの方にも応える一冊です。非常に得るものが大きい本ですが、あまりに情報量が多いので、初心者向けではないかもしれません。ただ、完成度が高く内容が陳腐化しないので、香水に興味のある方は、手許に置いていて間違いのない本です。ロジャ・ダブ氏本人はこの本を出した後、自らが調香した香水が中東やロシアの富裕層間で大ヒットし、金満ギラギラのダイヤモンドボカンになってしまいましたが、それでもこの本は彼の博識と知性の集大成として尊敬に値し、一生手放すつもりはありません。(終)
 

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原著改訂版(右)と日本語版(左)、実は判型がこれだけ違います。デカっ!重っ!

今回、ご興味を持たれながらも参加をためらわれた方は、是非、「LA  PARFUMERIE  TANU」様のブログや、御協賛頂いたPARFUM誌の誌面、平田様の著作をご覧下さい(店内に香水関連本のコーナーがございます)。PARFUM誌は店頭販売が無いため、定期購読のみのお取り扱いになりますが、イベント時に展示している分は自由に閲覧できます(非売品)。また、定期購読申し込み用紙も店内に用意が御座いますので、お声掛け下さいませ。なお、イベントにナンバリングがあるように、Vol.3,4,5,,,と、今後の活躍も期待されます(既に次々回以降のネタも御用意なさっているとのことです)。イベントは約3ヶ月に一度の開催になりますが、お申し込みはLPT様のブログ読者様に限らせて頂いています(当店では満席になりましてからの貸切告知となります)。最近ではメンズ香水でジェントルマン氏とのクロスレビューを展開するなど、新境地も新鮮な驚きと賞賛をもって迎えられています。ぜひ、リンク先をお訪ね下さいませ。なお、LPT Annexでも桜台周辺のラーメン戦争やカレー戦争など、地元密着の話題をはじめ、音楽や映画(来年からはチームLPTの”あの方”もついに執筆開始!)と幅広く展開されています。そしてfumikuraでも来年からレジ付近に「今月の香水」コーナーがLPT様と連動でスタート。魅惑の香りを毎月皆様にお届け致します!

 

【イベント概要】

<CABARET LPT Vol.2 Dawn of the Dead>

主催:香水ブログ「LA  PARFUMERIE  TANU」様

http://lpt.hateblo.jp/

 

<バックナンバー及び著作寄贈>

香水専門誌PARFUM 平田幸子様

http://parfum-specialist.com/

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