11月23日(火)の店休日夜、新宿は花園神社の酉の市(二の酉)の前夜祭に出掛けてきました。
隣駅の練馬でも酉の市はやっているのですが、小学生の時からの悪友の実家が熊手屋さんという縁もあり、弁当屋の開店当初からお世話になっている中村屋(イサオ商会)さんへ。なんだかんだと奇縁もあり、お互いに地元では無かったはずの桜台のほど近くに中村屋さんが引っ越してきたのが数年前。弁当屋時代からの大切なお客様でもあります。ちなみに左の招き猫さんも中村屋さんから。こちらは二代目で名前は「書(ふみ)♂」、初代は亡き祖母からの贈り物でしたが、不慮の事故で世を去るまでは「髭将軍」としてレジ脇で親しまれていたので、三毛の系統は変えていません。(なお、初代髭将軍の髭は店長が光ファイバーで植毛した模様)座布団も商店会の布団屋さんからの差し入れです(^_^)
弁当屋の開店時には分不相応な程大きな熊手を頂いてしまいましたが、昨年、店をbook cafeにすると決めた時に、一番小さい熊手から出直し。今年は気持ちだけ大きくなりました。兄の店と2つ、いつも同じ大きさで揃えています。兄の店まで小さくなった分は、ご祝儀の方で気持ちだけ乗せて来ました(本当はそれでも足りないですけど)
酉の市の賑々しい雰囲気は大好きです。手締めや拍子木の音に、賑やかな掛け声。いやぁ、いいもんですね。
行き交う人が、拍子の輪に加わって手締めをするのも、微笑ましいです。購入した店だけでなく、声が聞こえる範囲の店店の方も、です。福を呼んで、呼ばれて、見ず知らずの人に、福を送る。夜も遅くなって、さすがに拍子の音は少なくなっていたようですが、それでも僕も、何件かの輪に加わって、手締めをしてきました。
そして今年は、中村屋さんでひときわデカい熊手に遭遇。何メートルあるんだろう、、と思わず息を呑むド迫力の主は【サマンサタバサ・ジャパンリミテッド】様でした。
、、、おっおう。これは是非ともあやかりたい。ということで、大きな熊手に触ったり、商売繁盛のシールを貼らせて頂いたりと、周囲は人でごった返すお祭りムード。手締めも長い(笑)普通は三・三・七拍子を3回で締めますが、ご祝儀などが入ると回数が増えます。件の熊手は、、、途中で合いの手が「も一丁」とか「まだまだ!」などと入り、なんと12回締め!!本殿正面に提灯を奉納できるだけありますね、いやぁ、凄かったです。(正面左下に注目)
こちらは本当に慎ましく、ですが、たくさんたたいて頂いたり、オマケをたくさん挿して頂きました。いつもご厚意が有り難いです。
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さて。
ここからはちょいと毛色の変わった話になります。
今回のお話の表題の掛け声。
子供の頃は、入っちゃいけないと言われた。
大学の頃は、興味が無くて入る気がしなかった。
最近、なにかの雑誌でとりあげられ、興行は花園神社意外に定期興業が無く、地方巡業でもほとんど絶滅危惧と書かれる【見世物小屋】です。
新宿花園神社の境内に、一際アヤシイ小屋が一つ。昭和の煤けた絵看板を背に、怪しい客引きが口上を始める。
__お代は見てのお帰りだよ__
「稀代の美女が艶めかしく蛇を食べる、、、だと?」
とまぁ、実を言うと何回も見ているのでネタは知っているんだけど、兄や従業員を連れ込んで、今年も見てきました。いやぁ、昭和というか大戦前のネタを今でも見られる空間というのは貴重だと思います。笑った笑った。
今や見世物小屋の興業も、なかなか見られなくなってしまいました。珍奇新の動物や芸を見せる正統派から(これは西洋でもパリ万博などで植民地の人々を連れてきて散々見世物にした黒歴史もある。博物学という体の良い隠れ蓑を使ってね※著者注「博覧会の政治学」中公文庫を参照)、現在は禁止されている障碍者による被虐芸まで、見物人の好奇の数だけ、演目があったとのこと。障害者プロレスなど、それを己の生き様として生業にする事は自立の意味でも必要な事とも思うんですけどね。(アメリカは人権団体が活動を後押ししているし)
民俗として見ると、古今東西、見世物小屋は人の生活の裏側を垣間見ることが出来る場所。俗信や都市伝説が現代社会の暗部を切り取るように、民話や習俗が土地土地の問題を内包するように、見世物小屋の演目の多くは、世間の覗き見趣味を上手く、絡め取っている。と、思う。(自信ないけど)
ステレオタイプの恐怖とグロテスクが、笑い話に化けているのが現代らしいと言おうか。横溝正史の映画の恐怖を、都会人が恐怖と感じないのと同じ事かな。とも、思う。身近でない、非現実の空間としての笑いが、そこにはあった。それが逆に、僕には怖いと感じたんだけど。
臨機応変な口上、お客をイジリ倒して巻き込む経験の豊富さ、ああいう喋りが自在に出来れば、演台に立つのも楽しいだろうなぁ。
例えばの演目はこんな感じ。
仮設小屋の暖簾をくぐってみると、すし詰め状態の盛況ぶり。まぁ、すっごく狭い小屋掛けなんで。舞台が見える客席に立ってみると、そこには生きている蛇の頭を食いちぎる着物の女性、、、
、、、ドン引きしてたら、周りは普通に笑ってるのね。掛け声とかもあるらしいのね。
(盛り上げるためのサクラもたくさん混じっているようですが)
いや、芸なんだからそりゃ、あるんでしょうけども。生きている蛇の体を舐めあげる女性は妖艶そのもので、演技だと解っていても、背筋がゾワゾワしてくる、、、
※噛み千切って飲み込むのは演技じゃないし※
引いては居ましたが、それなりに楽しんでる自分が居ました。何よりも口上が面白い。
「_人か獣かケダモノか」「_見たところから見たところまで、いつ入られましても始まりから見ることができます」「_さぁ、寄ってらっしゃい、みてらっしゃい」「_博物館に行ったってこんなものは見られないよ」などなど。
お次の演目は、男性が鼻から口にチェーンを通して、それで水の入ったバケツを持ち上げるもの、、、 これも強烈に痛そうで、、、、ちなみに、この男性は”三重県から来た寝たきり老人”と名乗り「元気ですか?」の掛け声に「、、、死にそうです、、、」と返す(笑)
鼻芸人はそれだけでは終わらない、別の現代の若者風の格好(にしてはルパン三世のようなジャケットを着ている)は鼻の中にトンカチで長釘を打ち込み、S字フックを通し、最終的には電動ドリルを鼻に入れるのを、、、観客にやらせる、、、(たぶんサクラでしょうけど)ここで他の客から「おいおい、ずいぶん鼻通りが良くて羨ましいな!」との合いの手。
そんな力業の舞台から視線を外すと、先程の蛇女さんが奈落でなにやら吐いてるし、、、
冒険小説「ダレン・シャン」の見世物小屋は、 もうちょっとブラックだけど、ユーモアがあるように描かれていたんだけどなぁ。 日本の湿気ある風土を、すっかり忘れてました。
さてと。どうもこれでは下手物趣味で後味が悪い。
__お後がよろしいようで、と、何か落ち話にしたい所ですが、生憎手前にはその技量が無い。
こちとら本屋の商い家業。関連本を一冊紹介して〆にしやしょう。
見世物小屋の記事に合わせて仕入れた本です。
図譜でもありますが、日本各地の寺宝になっている河童や人魚、鬼などのミイラが写真で載っています。一部閲覧注意です。勇気のある方は店長までどうぞ。
、
、、
、、、
ん? そう言えば、当店の会計も後払いでしたっけ。
__お代は(本を)見てのお帰りで__
おあとがよろしいようで。<m(__)m>