大人の図鑑カフェ

6月1日:「日本灯台物語」(ご推薦本 No.21)

6月1日:「日本灯台物語」(ご推薦本 No.21)

その道のプロの方にお願いして、その方が参考にされている本を願い倒して紹介して頂くこのコーナー。「店長の眼」だけでは偏りが出るため、毎度毎度「その道のプロ」を口説き落とすわけですが。遠慮なさる方が多いため、いつも難儀する難産のコーナーでもあります(T-T) ※2026年1月末日終了予定です(延長があるかもです)※

ここ3冊ほどは灯台関連の推薦本が続いております。本来でしたら分野をばらけるところでございますが、犬吠埼点灯150年フェアとご推薦本フェア台を連動させておりますので、もう半年ちょい、灯台と向き合った頂けましたら幸いです。

なんと!今回は著者さんのサイン&イラスト入り(市販本にはございません)です!

【ご推薦本フェアNo.21】
・「日本灯台物語」
 東京ニュース通信社
・著者ご経歴
 岡克己(Katsumi Oka)
 1948年倉敷生まれ、写真家・灯台研究家。写真家・中村昭夫氏に師事。月刊誌『おかあさんなぜ?』写真部などを経て、1980年からフリーランス。ライフワークで「日本の灯台」を撮り続けている。主な写真展は「日本の灯台」「写言」(オリンパスギャラリー)など。著書に『ニッポン灯台紀行(世界文化社)』、『カメラど素人が、プロカメラマンに撮影テクニックを教わってきました』(技術評論社・共著)、『北の国からお便りです』(盛モ堂)、『実篤公園 季節色』(盛モ堂)など、写真集多数。公益社団法人 日本写真家協会会員(JPS)
公式ホームページ:盛モ堂・西野川写真工房(ページ一番下にProfile欄があります)
公式X:https://x.com/morimodou
公式Instagram:https://www.instagram.com/oka_katsumi/?hl=ja


<ご推薦人>
・燈の守り人 総合プロデューサー 波房克典さま

・ご経歴
 波房 克典(Katsunori Namifusa)  
 1973年静岡県富士市出身。プロデューサー。 株式会社ワールドエッグス代表取締役社長、一般社団法人日本ロマンチスト協会会長。 2016年、自身が会長を務める日本ロマンチスト協会にて恋する灯台プロジェクトを立ち上げる。全国51基の「恋する灯台」を行脚していく中で、燈の守り人の着想を得て、プロジェクトを本格始動。自身で原案を務める。 2019年、「物語をつくる」を理念に「株式会社ワールドエッグス」を創業。代表取締役(現職)に就任。 海と日本プロジェクトの立ち上げをはじめ、毎年100以上の海洋事業を自ら創り出し、海と灯台プロジェクトを通じて、灯台を海洋文化遺産として再価値化する運動を展開。 文化・地域・環境に新たな価値を生み出す“ソーシャルムーブメント・プロデューサー”。 著書に秘密結社マーケティングがある。

波房克典 公式 Xhttps://x.com/katsunorinamif1
     公式 Instagramhttps://www.instagram.com/namifusa/?hl=ja
燈の守り人 公式HPhttps://akarinomoribito.com/
ワールドエッグス公式Xhttps://x.com/WORLDEGGS_0619

<ご推薦文>

 この一冊を手にした瞬間から、灯台をめぐる旅がはじまる。 本を読みながら誌上の旅を楽しむこともできるし、そのままリアルな旅に出かけるガイドブックにもなるのだ。旅の目的地に迷う必要はない。人生の新たなテーマとして、灯台めぐりが自然と生まれてくる。 灯台をめぐる旅は、「そもそも、なぜその場所に灯台が建っているのか」という根源的な問いを探る旅でもある。その灯台が守ってきた航路や人々の暮らし、見つめ続けた海や町、灯台そのものの存在理由――。 地理や歴史、文化が織りなす深い背景をひとつずつ紐解くうちに、灯台がただの絶景スポットではなく、日本人が太古から海とどのように向き合い、生きてきたのかを教えてくれる、壮大なスケール感をもった歴史文化遺産であることに気づかされるだろう。

<岡さんに訊く!灯台の魅力!>(インタビュー日 2025年5月26日)
fumikura(以下「井」):本日はお忙しい中、ご足労頂きましてありがとうございます。
  いきなりですが、
  喜寿というご年齢で
  これだけ情報量と100灯台という膨大な灯台を巡られて
  様々な条件下で写真を撮影され、
  それを著作にまとめられるバイタリティにまず驚嘆致しました。
岡克己さん(以下「岡」):こちらこそよろしくお願い致します。
  絶版になってしまいましたが、
  前著『ニッポン灯台紀行』(2015)でも100灯台を紹介しておりまして、
  その内容を踏まえて新しく巡り、撮りなおしたり、
  資料部のデータを一新したり、フルカラーに直したりしています。
井:実は、『ニッポン灯台紀行』はfumikura開店時に本棚に入っていました。
  早々に売れてしまい現在は棚に無いのですが、
  撮影時の背景や「実際に灯台を見に行きたくなる文章」が印象に残りました。
  資料編についても、出版時からとても評価が高かったと記憶しています。
岡:いやいやいや…。(照れる)
  私は写真屋ですので、文章については何とも…。
井:そんなご謙遜なさらなくても(微笑む)。 
  文章からも優しいお人柄が伝わりますし、
  掲載されている写真自体もどこか叙情的な印象があります。
  悪い建築写真にありがちな無機質さを全く感じさせませんし、
  その上で周辺の環境や文化風土を丁寧に汲み取った素敵な写真ばかりです。
岡:灯台をもっと身近に、気軽に立ち寄って、
  朝・昼・夕・夜と、その時々の表情を伝えられたらなぁ。
  そんな想いを込めて、写真を選びました。
井:私も灯台が好きなので、
  まずは灯台に足を運んで欲しいという気持ちは同じです(笑)
  この本を手にとって頂けたら、きっと伝わると思います!
  そんな岡さんに質問なのですが、
  灯台を好きになった切っ掛けがありましたら教えて頂けましたら嬉しいです。
岡:子どもの頃に父とよく釣りで訪れた、故郷倉敷の琴浦港(MAP)にあった灯台です。
  その時は、暮れてゆく空にぼんやりと光る赤いものに「なんだろう?」と、
  はじめはそんな程度だったんですが、
  写真を撮り始めた頃から気になり始めて。
  大人になってそれが灯台と知ってから、ちゃんと撮っておかねば!と。
井:岡さんの大切な “原風景” のひとつ、なんですね。
  そう言えば、本書の樺島灯台(MAP)の文章の中でも、
  お義父様との想い出として登場していますね。
  ご家族の中でも灯台とのご縁が強いように感じます。
岡:書籍に我を出してしまって申し訳ないのですが…。
井:いえいえ!ご自身の著作なのですから、
  むしろ私はその方が暖かみを感じました。
  そして、大きな灯台も良いですが、
  お話に出てきたような港湾の小さな灯台(赤・緑など)も可愛いですよね。
  ※注:灯台(航路標識)としての正確な区分けについては(こちら)をご参照下さい※
岡:港の安全はもちろんの事ですが、
  逆に漁師さんたちの生活の一部として愛されながら、
  “デザイン灯台” に生まれ変わった例もあり、それもまたとても良いです。
  本で紹介している「女木港鬼ヶ島防波堤灯台」
  「高松港玉藻防波堤灯台(せとしるべ)」に加え、
  「小田原のちょうちん灯台」なんかも面白いです。
井:日本に灯台は3000基以上、そのなかで一番身近にありながら、
  港湾の灯台は見落とされがちなのが残念ですよね…。
  横浜港に無数ある灯台の中にも文化財として保存されているものもありますし。
  そう言えば岡さん
  「日本の音風景百選」(環境省選定)の中に、
  ”横浜港新年を迎える船の汽笛” なんてものがありますが、
  今は稼働していない霧笛舎も、
  稼働させたらきっと「観光スポット」になりそうな気がします。
  ただ、”除夜の鐘” でさえ、住民の方々の理解が得られにくくなってきているので…。
岡:霧笛は…。ほんとうに残念ですよね。
  今からでもどこかで復活できないかとも思います。
  音風景は自分の感情と結びついて記憶に残りますから、
  目だけではなく、耳からも体験として感じられることは大切にしたいですね。
  また、最近では灯台の特徴でもあるフレネルレンズが置き換えられたり、
  灯そのものがLEDになったりと
  利便性は良くなりつつも、昔ながらの機構が失われつつあります…。
  今あるうちに、まだまだ巡っておきたい灯台はたくさんあります!
井:精力的ですね!今後もますます、岡さんの灯台写真を追っていきたいと思います!
  さて、気付けばたくさんお話をしてしまいました。
  岡さん、最後に「灯台をまだ良く知らない方」へのメッセージはありませんか?
岡:__灯台は、その場に立って見れば、絶対に感動すると思うんです!__
  交通機関の便の良し悪しもありますが、
  地域に愛されている灯台はたくさんあります。
  むずかしい事はさておいて、まずは灯台に訪れてみて欲しいと思っています。
  そんな灯台巡りに、この本を一緒に携えて貰えたら嬉しいです。
井:サインの添え書きに「恵存」との言葉がありました。
  私は浅学のため初めて識りましたが、
  「どうぞお手元に」というとても慎ましい言葉なんですね。
  素敵だなぁと思いました。
  まずはお手元でゆっくり、気になる灯台を探して頂けたら私も嬉しいです。
  ガンガン宣伝しますよ~!! 

※本書のなかから、より抜きの灯台3基の写真を “燈の守り人” のキャラクターと共に。展示用に額装して下さいましたので、フェア台に一緒に展示しています。併せてお楽しみ下さいませ。※

岡克己さん出演
テレビせとうち
「せとうち灯台紀行」(全24回中の2回分です)