book cafe “bar” fumikura と名乗る当店が、
(最近では”図鑑カフェ”という言葉を流行らせたいので、
敢えてそっちを使う場面も増えましたが)
なんで、今の今までビールサーバーを入れていなかったか?
答えは簡単。
私は基本的に酒を飲まない(下戸に近い)から。です。
ではなぜ、barを名乗っているのかと言えば、
自家製の梅酒と果実酒が山のようにあったからです。
今回導入したのは4つ口タップですので、4種類のクラフトビールを毎日お出し出来ます。(瓶ビールを含めると常時10種類を御提供出来ます。※醸造元切れの際はご容赦下さい※)また、タップは4つですが注文出来るビールの種類は、なんと現在だけでも27種類に及びます。(※地域限定・季節限定を含む※)まだまだ増えるそうなのでお楽しみに(^_^)
その日に入荷しているビール4種は入口扉下面に表示しています。(menuにも挟み込んでいますので、飲みたいビールを含めてじっくりご覧頂けたら幸いです。なお、日によってビールの種類が異なります。「Facebook」「Twitter」をフォローして頂くと、ビール交換日に4種類のビールをご紹介しておりますので御参考になるかと存じます。また、店頭入口のガラス扉にも「今日の4Tap」として表示して居りますので、千川通りをご散策の途次、目に留めて頂けたら幸いです。
また、「クラフトビール(または地ビール)がどうしても苦手」という方もご安心下さい。クラフトビールは少量生産故に小回りが利きます。表を見て頂くだけでも解るように、実に多種多様な味のクラフトビールがしのぎを削っております(笑)「苦い」印象が苦手な方には「フルーティ」なものを、「軽さ」が苦手な方には「ドッシリと重い」ものを、それぞれお薦め出来るよう、グラスを冷やしてお待ちしております。(実は7月27日の土曜日より試験提供を開始しており、多くの方に驚きを以て迎えられています)ミディアム(通常)にはちょっと優雅なグラスを、お試し4種beerセットにはミニゴブレットのドッシリとしたグラスでお愉しみ頂けます(^_^)
梅雨明けの酷暑、お客様の楽しみが1つでも増えますように!!
更に、ずっと言われていた「bar nemu の貧弱さ」を克服するべく、新たなおつまみを2種、急遽ご用意致しました。
【パンチェッタ(生ベーコン)とコールスローのミニサラダ】 と【パテ&パンのミニプレート】(各350円)。こちらの2種類は、グラスビールと一緒に頼んでピッタリ1,000円になるように、との設定です。千円でベロベロとは参りませんが、少しでも愉しみが増えるお手伝いが出来れば嬉しいです。また、もともとあった【おつまみチリビーンズ(500円)】や、オリーブ漬けやミックスナッツなどの定番もご一緒に、または軽めのビールには自家製アイスやゼリーなどのスイーツなどとのフードペアリングをお楽しみ頂ければ幸いです。(^_^)これで括弧書きになりそうだったbar部分も少しは面目が立つでしょうか(笑)
話がビールサーバーに戻りますが、
設備投資や1樽の容量の問題もあり、ブックカフェという特殊な業態で捌ける自信もまた、無かったんです。(これは当時、散々友人に入れろと言われました)
あとは、後発店の仁義として、他のお店さんと競合しないようにするという当時からの方針の元、漫画「もやしもん」以来、興味のあった工場を訪ね歩いて、
自分の舌を信じる事でクラフトビール(瓶)を主にする事に決めました。
とは言え、そんなに簡単に受け入れられる訳もなく、
かなり地道な営業が続いていました。
ほんの最近になってようやく認知されるようになり、
今年は梅雨前から醸造元品切れが相次ぎ頭を抱えていました。
そんな折に、
丁度良いサイズの簡易サーバーを持って営業に来たのがキリンビールさん(Server名はTapMarche)でした。まさに渡に舟です。そして、理由はそれだけではありません。実はもともと、麒麟の横浜工場(と言っても川崎の生麦なんですが)に行く予定を立てていたところでした。というのも併設されているクラフトビールレストラン(beer gar?)、代官山にも京都にもあるのですが、名前の「スプリングバレーブルワリー(以下:SVB)」は、横浜居留地のウィリアム・コープランドさんが日本初のビール会社として設立した会社名そのまんまなんです。
「だからどうした?」と気にれされない方は全く気になさらないでしょうが、少なくとも私はサイダー愛好家の端くれとして、そのことで、このキリンという会社は創業者や歴史を重んずる会社なんだなぁと好印象を持っていました。(昨年の「ぼくなつフェア2018」で展示した通り、サイダー会社とビール会社は表裏一体なので、社史を紐解くとその歴史はほとんど神戸・長崎・横浜などの外国人居留地に辿り着く。(いわゆる舶来物であるラムネ・サイダー・ビール・牛乳なんかもそうです。まぁ社史「麒麟麦酒五十年史」を読むと明治屋と布引鉱泉所ダイヤモンドレモンとの丁々発止なんかもありましたが)そして、SVBのクラフトビールのラインナップの中に、なんと「コープランド」の名前を冠したビールがあるんです。(当時は「天沼ビアザケ」と称した当時の味に近いのでしょうか?ちなみにピルスナーです。)
と、言う訳で契約を決めた翌週には行って参りました、【麒麟麦酒開源の地ツアー】。サーバーも、ただ単に入れるだけじゃ駄目なんです。
店主がどういう思いで選んだのか、ちゃんとそこまで語れるように、礼は尽くすのが私の主義です。(一応歴史研究家であり図鑑カフェのオーナーとして、そこは譲りたくない。)旧SVB跡地(麒麟山手工場)の付近を歩くと見るべきものがたくさん有りました。まずは信号機に「キリン公園入口」の標識、民家にあった山手工場時代の陶板、麒麟麦酒開源記念碑のあるキリン公園(入口には麒麟園も併記)、隣の小学校に向かう道はビヤザケ通り、小学校の敷地には当初ビール用の水を取水していたレンガ造のビール井戸も遺されています。(残念ながら金網で水位は解りませんがまだ水は出るようです)
最後に営業さんに伺った重要な話。外人墓地に眠る氏の墓碑には命日になると社員が麦酒を供えに行く、と。また、大きなプロジェクトや仕事を任された時に祈願に訪れる、とも。僭越ながら、名刺を拝借して管理棟に理由を説明して訪ねることが叶いました(基本的に関係者以外入口までで立ち入り禁止)。ご縁があってサーバーを導入させて頂く機会を頂いたことに感謝し、またその名を汚さぬよう、地域の皆様に愛される店になることを誓ってきました。私としてのけじめ、でしょうか。(ただ横浜に行きたかったからとか洋館が見たかったからとかいう理由ではありません。断じて。)
苦手だったビールサーバー。
開店時に入れなくて良かったと思います。
これは今でこそ言えますが、コーヒーが嫌いで豆さえ挽いた事が無かった私が喫茶店を始めたのと同じような冒険ですが(その時も、オレンジ珈琲やラム珈琲といったトリッキーなメニューを入れる事で視線をそらせた、、、でもちゃんと豆だけは美味しいのを選びました)
頭の中に「そろそろ、入れる時が来たんだよ」と言われた気がして、ね。世の中にはタイミングがあるので、多分、その時なんだと思います。
最後になりますが、営業さんからお赦しを頂いたので一つ。麒麟さんの簡易サーバーは前述の通り「Tap Marche(タップマルシェ)」の名前で続々展開中です。ですが、当店は【fumicraft_beers】(ふみくらふと_びあーず)という別のキャッチコピーが付いています。さて、それはなんぞや?というお話しです。
間違いなく”駄洒落”ではあるのですが、これには今後を踏まえたちょっとした想いが込められています。もともと当店には「CRAFT」が意味する”手仕事”や”手間暇”といった言葉が相応しい作家さん(例えば珈琲豆ブローチや柿の種キーホルダーで著名なフェイクフードのkoh[神様の降りてくる時間]さん)や工芸職人さん(ガラスペンの[哲磋工房]さん)、漫画家さんや音楽家さんや役者さん、脚本家さんなどが多く訪れて下さいます。そういった方々と、また何か一緒に何かをやりたいなぁと。その時までに【fumicraft】という土台(ブランド?)を作っておけたら、と。それで今回はそのbeerバージョンということで、「CRAFT BEER」と書くところを敢えてこのような表記とさせて頂きました。寛大にもご理解の上お赦し頂きましたキリンビール様には篤く御礼申し上げます。