好評につき二度の会期延長となった【地図探偵の午睡】フェア。流石に長くなりすぎましたので昨日2月6日より新フェア【集印と民俗信仰の心】に衣替え致しました。展示物、フェア本もガラリと変わりまして、若干、茶色や赤の表紙が多いフェアとなってしまいました。チョット地味ですが内容は深いです。
ここ数年来、爆発的なブームとなっている御朱印。昔は札所巡礼や格式の高い寺では写経の印、神社では祝詞を奉じた証として授与されていた物。それが時代が下るにつれて参拝の証として授与されるようになってきたとの事。天皇陵参拝の御陵印も存在し(実際の御陵:みささぎ)ではなく地方別に5つの宮内庁書陵部事務所にまとめて置かれていますのでご注意を。興味のある方は店長が実際に全て巡っておりますのでくわしくは「こちら」をどうぞ。他の一神教の外来宗教(たくさんあるので敢えて書きませんが)には御朱印はありませんが、例えばキリスト教をとってみても教会には必ず「守護聖人」という方がおりますので、その方の持仏やモノグラムの背景スタンプに、カリグラフィーでお祈りを捧げた日を記入するなどしたら、少なくとも日本では人気が出ると思うのですが、、、教義に反するのかな(ルターから免罪符の誹りを免れない気もする、、、)。
また、元々は御本尊や主祭神のみの御朱印でしたが、最近では脇侍やよそ様より勧請した仏様、摂社の神様をも対象とするようになり、果ては例大祭や季節毎にデザインを変え、、、と随分種類も増えました(大きな神社では20種類ぐらいの御朱印がある場所もございます)。僧籍・神職にあられる方は総じて字が上手で、私は信仰と言うよりはまずそのデザイン性に惹かれました。ですので私としてはデザイン画増えるのは喜ばしいことなのですが、本来の意味を鑑みて、参拝もせずスタンプラリーの如く集めて回ることには若干の違和感を感じます。せめて経文や祝詞の一節を奉じ(境内どこでも良いらしいです)、お作法を守って参拝後に頂く事をお薦めします。(※このあたりは私個人の見解であり人様の考え方を非難する物ではありません。店長は25年ほど集印巡りをしていますが始めは作法が全然解っていませんでした※)
また、参拝する対象ごとに「神社帳」「寺院帳」「御陵印帳」「権現その他帳」と分けられる方、地方ごとにまとめられる方、好きな仏尊・祭神のみを参拝される方とそのスタイルは様々です。まずは入門書に触れ、店頭展示にございます店長の集印帳などに触れて、その魅力の入口となれば幸いです。ですので、仏像の基本的な見方や御神酒の知識など、周辺文化の書籍も合わせてご覧頂けます。
プラスして、日本は宗教に関してとても寛容なお国柄です。神様も八百万神という程にその懐も広く、地域独特の土着信仰や民間信仰も合わせてお祭りしてきた長い長い歴史があります。その中で、神仏習合や廃仏毀釈などにより、同じ方が仏様になったり神様になったりと割と揺れ動く部分も多かったりします。そのあたりを、例えば「富士講」や「オオカミ信仰」地元練馬区の「庚申塔」「板碑」などのフェア本・郷土資料を通して、おおらかな日本の民俗の心を感じて頂けたらと思います。
また、仏教で言えばみほとけの形もインド・ネパールからチベット、中国、朝鮮を通って日本に至るまで様々な特徴を、その足跡を辿るように図録をご用意してみました。「同じ神様でもこんなに違うの!?」と、混乱すること必至ではありますが(笑)、各国それぞれの良さがありますので、それをお楽しみ頂けたら幸いです。日本のほとけさま(明王や神将・天部などを除く)は基本的に柔和で優しいお顔立ちの作例が多いですね。民族性でしょうか(^_^)
なお、店頭展示の集印帳・御陵印帳はお手を触れないようお願い致します。ただ、解説が必要な場合は遠慮無く店長にお声掛け下さいませ。展示されている以外にも様々な印がございますので、そちらも合わせて解説させて頂きます。※秘仏は仏教と民間信仰の合わさった特殊な形態をしています。冗談のわかる方のみにご開帳致しますので宝塔の中身をご覧になりたい方はその点をご注意下さいませ※
※3月13日追記※
西武鉄道ニュースremo (←読めます)の2019年3月号にfumikuraが取り上げられました。このフェア原稿を書いている時点では特集を知らされて居りませんでしたが、献本を頂戴してビックリ!まさかの巻頭特集が今回のフェアとほぼ同じ内容でした!なんだかコラボして頂いたみたいで嬉しかったので、沿線で一番近い「椎名町駅」は金剛院(←飛べます)にある【マンガ地蔵】を参拝して、御朱印を頂いてきました。実は店長の実家は椎名町(笑)、ご住職は同じ小学校の大先輩でした。郷土教育としての地域見学では、隣の長崎神社(旧北豊島郡長崎村総鎮守)と併せて必ず立ち寄る場所でした。いやぁ、漫画家の聖地トキワ荘の絡みで、こういったお地蔵様まで建立されてしまうとは。なかなかに面白いです。
椎名町近辺はトキワ荘(現在はお休み処として復活)より少し前から、画家達がアトリエを構える地として重宝され、池袋モンパルナスの一角を担っていました。実家のある地域は「桜ヶ丘パルテノン」という地域で(実家を特定しないようにね(^_^))、育った頃にはまだまだアトリエ建築が随所に残っておりました。(雑誌:東京人 2006年4月号 小特集:池袋モンパルナスを歩く ←に実家付近が写ってます)文化創造の気概溢れる、血気盛んな画家達が軒を並べた土地と線路を隔てて対面にトキワ荘が生まれたのは、その血脈を受け継いでいると、、、私は思うのですが(笑)とにもかくにも、マンガ地蔵尊に刻まれたスライム顔の宝珠や、錫杖代わりのGペン、袈裟に彫り込まれた吹き出しや擬音書き文字などはなかなかブッ飛んでいます。さすが創造の聖地ですね。(擬音書き文字は「ザワザワザワ、、、」や「オラオラオラオラオラオラ」や「ズッギャァーーーン」なんかでも良かったのですがトキワ荘とは関係ないよね、、、ごめんなさい)
<店頭集印帳内にある少し変わった御朱印を幾つか公開します>
※左上から順に※
・東京雑司ヶ谷 鬼子母尊神(尊と付くのは仏尊のこと)
(鬼では無くなったため、「鬼」の字にツノがない。)
・築地本願寺 棄雑行帰本願
(本尊の名前ではなく教えや御歌などが書かれる場合もある)
・秩父鷲羽山観音印 聖観音
(高校3年次、友人に付き合って秩父を歩き人生で最初に貰った御朱印)
・奈良法隆寺 以和為貴(わをもってたっとしとなす)
(聖徳太子の言葉より。今の世界に必要な言葉かなと。)
・吉野金峯山寺 蔵王堂
(こちらも本尊ではなくお堂の名前です)
・京都竜安寺 石庭
(こちらは吾唯知足の蹲いでも有名。名所が書かれています)
・京都西芳寺(苔寺) 阿弥陀仏
(地蔵菩薩か僧侶かわからないですが見開きの墨絵御朱印とは、、、)
他にも出羽神社(出羽三山)の三神合祭殿(見開き)や、伊勢神宮のあっけないほど簡素なものまで色々あります。