大人の図鑑カフェ

天井を突き破れ!(中庭計画 #01)

天井を突き破れ!(中庭計画 #01)

休業開けより、天井投影プロジェクターを導入する事になりました。
昨年10月頃より話題に上がっていた天井投影、
試行錯誤を経てようやく実現の運びとなりました。

短焦点プロジェクターを導入する事により、
お客様の導線を邪魔しない袖机より天井に大画面の動画を投影できます。
※天井投影は当面18:00~閉店まで(プラネタリウムDAY以外毎日)を予定しています※

<投影予定の動画(各5分~7分程度をリピート)>
・青空高くを横切る飛行機(撮影済)
・竹林から覗く青空+シャボン玉(撮影済)
・樹と青空の中を飛ぶシャボン玉(撮影済)
・青空にモクモクと湧く水蒸気(撮影済)
・青空を飛ぶ紙飛行機(予定)
・季節の木々のさざめきや花吹雪(桜・紅葉・銀杏など/予定)
・水中から見上げたペンギンの群れ(撮影済)
・流氷の天使クリオネ(撮影済)
・青く光るミズクラゲ(撮影済)
・ブルームーンなどの天体現象CG(予定)etc.
※動画の概念として、”見上げるシチュエーション”というのがあまり無いので、
 記憶を幼少期に遡って空を眺めた情景を探っています。
 季節物で言えば、鯉のぼりや七夕とか。
 乗り物で言えば飛行船(桶川駐機場)や熱気球。
 場所で言えば大谷石採石場や東京都外郭放水路、洞窟のドーム天井などでしょうか。
 色々と思い付くものはありますが、
 なかなかタイミング良く撮影出来る物でもないので気長に増やしていきます。
※お客様からの撮影作品も心よりお待ちしております※

<今後の展開>
・今回の中庭計画に#01と番号が振られているように、
 ネットワークプロジェクターの利点を最大限生かしたサービスを随時投入していく予定です。
 様々な企業や団体様を口説き落とさなければなりませんが、
 お客様が店に居ながら、安心安全に、世界の様々な景色をリアルタイムで見る事が出来たら最高ですよね!
 まだ何も決まっていないに等しいですが、気長に展開をお待ち頂けましたら幸いです。

<※さて、ここより下は店長の戯れ言です※>
fumikuraの長年の課題として、
間口が奥まっている上に天井が低い事もあり、客席に若干の圧迫感がありました。
これを解消し、更にお客様が寛ぎ・楽しめる空間へと変身するにはどうしたらよいか?

__天井、抜いちゃえば?__

というお客様の一言にハッとしました。
物理的に天井を壊す事はできませんが、
もともと、プラネタリウムを投影するために
天井のある程度の空間に吊り下げ電球を配置しないという設計がなされています。

「これなら、短焦点プロジェクターを導入すれば、天井に大画面の空がつくれる!」
様々な映像系のお客様と話しながら、少しづつ設計やコンセプトが出来上がっていきます。

これは様々な映像クリエイターのお客様にお話を伺いながら、議論を重ねたものです。
ビルの一階で間口が狭く奥に長いという採光(および通風)の問題を「坪庭」で解決した 京町家の建築思想であると共に、スペイン建築に見られる「パティオ」の、 “皆が集うコミュニティペース(日本で言う井戸端よりもサロンに近い)”を内包させたネーミングです。

中小企業診断士さんにコンセプトネームをつけた方がわかりやすいよねって事で、

__心の内庭(ナカニワ)、fumikura__

というコンセプトネームに決まりました。
音読すると解りますが「心の中にはfumikura」とのダブルミーニングです。
fumikuraはもともと大学生時代から私の心の内側にしまい込んでいた箱庭が結果的に外に開かれた場所です。 そんな雰囲気を感じ取っているのか、実際のお客さんの来店動機とご要望を伺うと、
【秘密基地感】、【知られたくない自分の居場所】という、
店としてはちょっと困ったゾという主旨の返答が数多く寄せられました(苦笑)
それはお客様にとってfumikuraが「心の箱庭(内庭)」であり、
あくまでも内向きであって外開きを求めていないと解釈できるんです。
じゃあ、ビルの天井をぶち破る中庭計画で、外目には内向きであっても穏やかに寛げて、それでいて風通しや開放感を得られる場所を提示するなら、こんな逆説的なコンセプトネームも有りなんじゃ無いかと考えてこうなりました。

それが、中庭(ナカニワ)計画の始まりです。
スペイン建築につきものの中庭(パティオ)には噴水や植栽があり、
建物や回廊に囲まれたプライベート空間でありながら、歓談やサロン的な役割や、思索に耽る機能があります。しかし、それだと敷居が高い高い。
日本語で言えば内庭、中庭、坪庭、壺庭となりますが、京町屋建築の坪庭(壺庭)は閉鎖感と茶室のような高級感が鰻登りで開放感がありません。狭いし。
そんな類語のなかで、内庭というのは「箱庭」という意味も含まれます。

パティオの閉鎖性を”心の内”と表現、
開放感や思索の息抜きを”庭”と表現。
語感は単純にして明快。

いつでも心に留まる場所でありたい、との想いが裏にあります。
銚子電鉄さんに感化されたオヤジギャグではありますが、
一見しただけでは解らないように混ぜ込んでおきました(笑)

プロジェクターで”天井を抜く”という設計思想を踏襲して、部屋の天井に空を描く。
さすがに店内に庭を造成するわけにはいきません(笑)
それを”天井を抜く”という中庭の視覚的表現で、達成できたならこの上なく嬉しいです。