大人のための図鑑図書室

OLD珈琲ミルのオーバーホール

OLD珈琲ミルのオーバーホール

先日、いつもお世話になっている古書肆の親父さんに、古い珈琲ミルを勧められました。「店のインテリアにでも、どう?」とのこと。親父さんは私が簡単なリペアなら出来る事はご存じです。
パッと見は錆だらけでとんでもなかったのですが、触って動かしてみるとミルの歯の噛み合わせや回転軸の歪みも無く、すべらかに動く。
「これならいけそうですね」ということで、お買い上げ。

調べてみると、カリタ社の鋳鉄製ダイヤミル。職人さんが一つ一つ手作りしており、現在は生産が終了している品物との事。新品も出店されていますが、いわゆるデッドストックからの放出品ですので、実際にはなかなかの貴重品。作りも複雑ではなく、完全文系脳の私でも分解清掃(オーバーホール)ができそうです。ほとんど壊れることもなく、レビューを読むと30年クラスの愛用者が居る一生物の逸品だと解りました。

こちらが修復作業前の姿。結構汚れてます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、久々の【夜の工房】の始まりです。
私は基本、古物の類いを実働状態までリペアするのが大好きです。
汚れている物は汚れている物で味がありますが、「使ってこそ」のものは古物の年月の味を損なわないよう、古色加工などを施しつつ原状回復に努めます。ただし、食品を扱える復元が最優先なので、台所用品以外の塗料や薬剤は原則使用しません。油も食用油ですし、ミルの歯は油も嫌うので拭き取りは丁寧に。
これを始めるのは定休日前日の深夜、朝まで掛かるのは承知の上、とことんまでやつちゃいます。

 

 

 

 

1:取り敢えず、全パーツを分解。
2:錆落とし&食用油の塗布
鋳鉄は水気が付くと数分で茶色く錆びていくので、錆び落とし後はすぐに油漬けにします。
3:木部は紙ヤスリで全面研磨後、珈琲粉を含ませた台所用研磨剤で磨き込みながら同時に古色加工をします。コーヒー粉は使い込んだ味が出ます。
4:ハンドルの取っ手は若干角があったので面取りしてから再度磨き込み。これも古加工の一環です。手に馴染むようにほんの少しだけ。
5:シリンダー部分やネジなど細かい物は最終兵器の超音波洗浄機へ。これで細部までスッキリです。
6:洗浄、油の塗布などが完了した部品全品。なんとネジが9個しかない!先達の卓越した技術にビックリです。
7:修復後の化粧写真。写真は撮り方で七難が隠れるので、実際はもうちょっと良い感じに古びて見えます。

 

※味の感想※
・いつもお客様にお出ししている「モカハラー」を挽いて淹れてみると、どことなく酸味が抑えられて円やかになっていて、美味しい、、、気がする。修復者の情というか、親の欲目でしょうか(笑)
・仕入れ先の豆屋さんに、味について同じ豆でも違うように感じたことについて訊ねると「うーん、気のせいだね。」とバッサリ。、、、そうだよ、アンタそういう人だよねー。(でもそこが良い)とは思いましたが、フォローとして「挽きムラが出ることは確かで、(うちのような)ペーパードリップだとそういう微細な差が出ないとは言えない。」と付け加えてはくれました(笑)また、電動ミルと違って熱の伝わりが弱いので、それが若干味の変化につながることもあるとかないとか。ま、気分の問題です気分の、ね。というわけで朝一で自分用(&招き猫用)に淹れる一杯は当分これになりそうです。
・ただ、一杯分挽くのに、電動ミルの3倍~5倍ぐらいの時間が掛かりますので、当分の間はお客様にお出しする事は出来ない、、、かな。(まぁ、あんまりにも暇な日に出くわしてしまいましたら、お声掛け下されば挽くかもしれません。折角完動品に仕上げたのに、インテリアだけにしておくにはもったいないですもんね。)

※主要機故障時に活躍したので動画に納めておきました。好評でしたので、雨天や客様の少ない日に「オールドミルで」と囁いてみて下さい(笑)ご自身で挽いてみたい方もお声掛け下さい。動画の通り、軽快に回ります。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です