大人の図鑑カフェ

御推薦本コーナーNo.13『団地の給水塔大図鑑』

御推薦本コーナーNo.13『団地の給水塔大図鑑』

その道のプロの方にお願いして、その方が参考にされている本を願い倒して紹介して頂くこのコーナー。「店長の眼」だけでは偏りが出るため、毎度毎度「その道のプロ」を口説き落とすわけですが。皆様遠慮なさる方が多いため、いつも難儀する問題のコーナーでもあります(T-T)※8月末までの展示予定です※

前回のご推薦本、銚子電気鉄道さんの社運をかけたと言ってもいい、映画「電車を止めるな!のろいの6.4km」を観にいらしたお客様とのお話の中で昭和の土木遺産とも言える給水塔についてご紹介のバトンを繋いで頂きました。

<御推薦本と御推薦文>
『団地の給水塔大図鑑』
小山祐之(日本給水党党首 UC)+シカク出版(2018年)

<今回は著者様ご了解の元、同じく給水塔を撮り続けているブログ様からのご紹介です>
ご推薦人(お客様):給水塔百景さま

団地、駄菓子屋、木製床で機械油の臭いがするバス、給水塔。
昭和の万華鏡的世界、団地の給水塔大図鑑。

昭和30-40年代に多く作られた団地の給水設備である給水塔の大図鑑。
12種類に分類された、400を超える給水塔の数々のご紹介。
この20年、再開発と共に姿を消しつつある昭和の団地と給水塔、その中でも給水塔にスポットを当てた名鑑。
昭和の建物に残る個性豊かな姿はまるで万華鏡的世界。
日本給水党党首小山氏の緻密な記録の集大成。


<推薦人紹介>
給水塔百景
・ブログ(note):https://note.com/reach55
・Instagram:https://www.instagram.com/watertowers55/?hl=ja
・Store(BASE):https://watertower55.handcrafted.jp/

:略歴
給水塔巡りを始めて2年、給水塔百景も始めて2年。

2017年に2社目の会社を辞めた。
転職先の就業まで2ヵ月ある。
2ヵ月自由だ。
中年サラリーマンにこんな時間はなかなか取れない。
世界一周に行こうと決めた。
旅の計画を考えているのが楽しい。

2ヵ月で効率的に回れて旅を満喫できるルートはないか?
シベリア鉄道でヨーロッパまで電車移動、南欧に行って食べ歩き、好きなバンドの追っかけで北米に行ってライブ鑑賞して帰国。
ロシア横断、地中海グルメ、北米ライブ鑑賞ツアー、これがいいかも。と思って決定。

早速、ウラジオストック行きの片道切符をゲットして世界一周の開始。
ウラジオストックの駅からモスクワへ7泊8日電車の旅。
ロシアの雄大な大地、自然を車窓から眺めるのも飽きないが、旧共産時代に作られたであろう廃墟化した超巨大建造物や大規模集合住宅、田舎の朴訥な村にある教会や簡素ながら丈夫そうな一軒家も見ていて楽しかった。
そんな中でなんとなく印象に残っていたのが線路沿いにたまに見かける給水塔。

モスクワへ着いて、更に電車に乗ってフィンランドまで移動、船でエストニアに行ったり北欧ぶらぶら。
ヘルシンキからバルセロナへ移動してスペイン・ポルトガルで南欧飲み歩きの食べ歩き、リスボンからカナダへ移動してバンド追っかけとか移住した元同僚と会ったりして世界一周、充電して帰国。

サラリーマン再開して素早く放電した1年後。
旅好きな方たちと会話していたときに、ロシアの給水塔を思い出した。
国内の給水塔巡りを始めてみた。
給水塔を眺めていると、いずれも個性的な形状であり、街の地味なランドマークになっている。
そんな給水塔は技術の発達とともにインフラとしての役目を果たし、国内・海外ともに解体されていることを知った。
個性的な街のランドマークが消えていく中、少しでも現存する姿を記録に残したくて、給水塔を追いかけてます。

<同時展開:給水塔百景グッズ販売中!(BASEと同じ価格にて販売します)>
・トートバッグ(コットン100%) 1,400円(税込)
・スマホケース(iPhone11 PRO用)透明地に白/黒 各1,400円(税込)
・マスクケース(プラスチック製パレットタイプ) 800円(税込)

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給水塔百景コースター
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<店長の感想(団地の給水塔大図鑑)>
 建築ともランドマークとも言える給水塔。高度経済成長期以降、マンモス団地という文化が花開き、その必要に応じて建てられた付帯物でもあります。
 そう書いてしまうとオマケのように聞こえてしまいますが、「昭和の団地」という懐かしい文脈で語られる時、ただ傍らに在ったはずの給水塔は突如として主役級に躍り出てきたりします。
 低層団地がマンション群へと変貌を遂げ、技術面からしても給水塔が必要のない高層建築があふれていく中で給水塔は取り壊しの真っ只中に居ます。
 無骨にして巨大、そしてどこか愛嬌のある給水塔は人知れず生活の中で親しみの対象となっていました。
 現在もトマソンという分野の不思議建築や路上観察学会などの活動を追う趣味人と同様に、給水塔もまた「懐古主義」を離れて、分類・再定義された「建築の類型」として図鑑化されたのがこちら。
 図鑑というのは面白い物で、どのような分野でも、また、観察者(コレクター)の数だけ分類の切り口が変わります。
 同時にご推薦を頂いたドイツの工業建造物写真家であるベッヒャー夫妻の給水塔写真集のように、世界各国で構造美をモノクロで淡々と切り取っていく写真家もおり(めちゃくちゃ格好良いのですがお高いのです)、その世界の奥深さに驚きました。
 巨大ダムや灯台、物言わぬ穴としてのトンネルなど様々な土木建築が注目を集める中、給水塔もまたその巨大な足跡を追ってみたくなると思います。

<店長の想い出:板橋区旧大谷口給水塔>Instagram投稿より引用改稿
 先代の板橋区大谷口給水塔の在りし日の御姿。現在は建て替えられています。
 中野区は哲学堂付近の野方給水塔とは双子の関係。
 小学校低学年の時、皆様と違わず自転車を手に入れました。それまでは自分の足で歩ける範囲しか遊びに行けなかった子供にとって、自転車という圧倒的な行動範囲の広がりは、子供にとって世界が爆発的に拡大する革命的な出来事でしょう。
“自分の足でどこまでも行ける”
 そんな乗り慣れない自転車で、私たちジャリ達は豊島区椎名町駅からちょっとした冒険の旅に出た。地図も読めない鼻垂れが、親に連れられてバスで通った事があるだけの通称『水の塔』を目指してペダルを漕いだ。
 迷いに迷って、辿り着いた夕暮れ、茜色に染まる巨人を見て、不覚にも泣きました。(夜遅くに帰って叱られてまた泣いた)
 _背丈が変われは、世界が変わる_
今では全然遠いとも思わないし、同タイプの野方給水塔を見ても、その頃のような巨大さは感じられない。
 でも、ちょっとしゃがんで目線の高さを子供にあわせると、、、
  、、、デッカいなぁ、、、
たまには視点を変えて観るのも、楽しいですね。
・スティーブンキングの「スタンドバイミー」(死体探し)
・銀林みのる の「鉄塔武蔵野線」(高圧鉄塔の基点探し)
少年文学の王道でもある “先の見えない目的地探し”、
私にとっての給水塔は、その”たどり着く先”として、今でも特別な想いが蘇る象徴的な場所であります。