久々の「夏休み親子天文会」(大人の方だけでもご参加いただけます)の告知です。※終了致しました※
8月28日(火曜定休日)19:00-21:00(途中休憩あり)、各社・団体許諾の元、
プロジェクターによる店内壁面投影によります宮澤賢治の名作『銀河鉄道の夜(KAGAYA版)』(株式会社アスク出版さま許諾)の映画の上映会を開催致します。現在、最新作「星の旅」が押上のプラネタリウム【天空】にて上映されているKAGAYAさん。池袋のプラネタリウム【満天】でも同じ『銀河鉄道の夜』がプラネタリウムVer.(全天週映像360°パノラマ版)にて投影されておりますが、残念ながら当店はドーム天井を持ちませんので壁面投影となります。でも、桜台でも見れちゃうのは嬉しいですよね(^_^)
また上映後、プラネタリウムソフト【Mitaka】(国立天文台4D2Uプロジェクト様許諾)による地球を離れての宇宙散歩や銀河鉄道の軌跡、宮澤賢治の故郷である岩手県花巻市との作品の繋がり、作中に散りばめられたキーワードなどをゆっくりと解説致します。(ご質問時間も設けさせて頂きます)
※【Mitaka】は国立天文台四次元デジタル宇宙プロジェクトさまの提供するwindows専用のフリーソフトです。fumikuraのような店舗ではなく、個人差までしたら自由にダウンロードや使用が可能です。折しも高解像度の天の川描画機能が追加された最新バージョンが今年7月6日にリリースされています。VR版もリリースされておりますので地球を離れての宇宙遊泳をどうぞ皆様自身の手でお楽しみ頂ければ幸いです。ダウンロード先は「こちら」。※
併せて、旧字体の岩波版『銀河鉄道の夜』や登場人物が猫で描かれたますむらひろし版『宮澤賢治童話集』、その他詩集や作品集、評伝、昭和33年の全天恒星図なども店内閲覧となっておりますので、暑気払いや夏休みの自由研究に、ちょっとだけDEEPな宮澤賢治ワールドを視覚的に御体験頂ければ幸いです。
※今回は、上映会という事もございまして、途中の出入店が難しくなります。
また、19:00は上映開始のお時間となりますので、
18:00より開場し18:30までにはオーダーを済ませてお席にお着き下さいませ。
(オーダーはドリンクとお酒、スイーツのみとなります)
解説終了後には質問のお時間も取らせて頂きますので(22:00まで)、
その後ごゆっくり店内の本をお読み頂いたり、おくつろぎ頂く事も可能です。
※御予約はfumikura当店まで。
店員に「銀河鉄道の夜上映会の予約です」とお伝え下さいませ。
人数によりお繰り合わせを頂く場合や、
また、キャンセル等でお席に余裕がございましたら当日予約が可能な場合もございます。
お気軽にお電話下さいませ。 TEL:03-6914-5886
※許諾に関する事項※
●Mitaka
プログラム:加藤恒彦
国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト
●『銀河鉄道の夜』
株式会社アスク出版
制作:KAGAYA STUDIO
※9月5日:追記報告(レポート提出記録)※
<開催日>平成30年8月28日(火曜日) 19:00-21:00(質問受け付け22:00まで)
<参加人数>8名
(内訳:10代女性1名、40代女性1名、40代男性2名、50代女性2名、50代男性1名)
<内容1>
・「銀河鉄道の夜(KAGAYA版)」上映(47分)
・銀河鉄道の軌跡を辿る(MITAKA)(35分)
銀河鉄道は賢治の死後に弟の清六さんによって発見された「未定稿」で、
その後の賢治研究家により「初期稿(通称:ブルカニロ博士編)」と
後期稿(通常はこちらを「本編の銀河鉄道」とする)に別れており、
今でも細部原稿の場面入れ換えなど数々の論議があり決着は付いていない。
また、そのため出版社や出版年次により様々な「銀河鉄道の夜」が存在する。
という前提の元で、初期稿を含めた銀河鉄道の「寄り道」をMITAKAにて辿り、
(銀河鉄道の夜は南半球の星座を含むため、シンガポールに移動して旅程全部が入るように事前調整)
「午后の授業」で出てきた銀河の構造について、
MITAKAで地球や太陽系を飛び出して銀河の側面を見せる事で銀河の構造を視覚的に理解してもらう試みを行いました。
区の学校教育ボランティア(芝生育成・避難訓練指導・星空観望会などを主催)の方が2名いらしたため、
簡単なMITAKAの使い方や、個人ではフリーで使える事、イベントの際の申請方法については内容3の時に同時に進めさせて頂きました。
この時点での質問はほとんど出なかったのですが、
MITAKAのスマホアプリ版があると便利ですよね、、、というご意見がVR版の流れから上がって参りました。
<内容2>
・「銀河鉄道の夜(KAGAYA版)の特典映像」の上映をしつつ、
「銀河鉄道の夜」に散りばめられた情景と賢治の故郷「岩手県花巻市」の情景の類似点をあぶり出し
また作中で星が「三角標」として描かれている事を、
当時の国土地図を作るための三角測量の櫓(懸垂式高覘標:けんすいしきこうてんぴょう)からヒントを得ていると説明。
また実際の写真を幾つかプロジェクタで表示。(つくば市の国土地理院「測量の科学館」に復元されている)
その時の測量点が現在GPS化されて(電子測量点)、
地震や噴火などで国土が大きく動いたときに使われている事も(3.11など)説明。
銀河鉄道のモデルとなった岩手軽便鉄道について
軽便鉄道(軽快・簡便に敷設出来る簡易的な鉄道)なので
夏目漱石の「坊ちゃん」ではマッチ箱汽車と呼ばれた事などに触れつつ
(現在も松山市電で走っている)
愛知県の明治村で保存されている軽便鉄道の蒸気機関車・客車が
岩手軽便鉄道と同型機だということで、そちらも偶然乗っていたのでそちらも写真説明。
<内容3>
・教育関係の方がいらっしゃった関係で「国語」が疎かになっている事をどう思うか尋ねられ
(実際に喋っているから教わる必要なんて無いじゃんというイマドキの考え方)
言語には一者言語(自分だけにしか通じない言葉:言葉の意味が上手く咀嚼されていないが自分だけは感覚としてわかる言葉)
二者言語(ハウスワード・グループワード・方言)家族や学校のグループ、地方のみで通用する言語。隠語、業界用語も同じ。
三者言語(公用語)その国全体の人がある程度解る「市民権を得た言葉」。
の違いをザッと説明しました。
若者は概して一者言語、もしくは二者言語で話をするため、周囲の大人がそれを三者言語に置き換えて教える必要がある事。
逆に、コミュニケーション不足は語彙力の低下と、親近言語でもある二者言語とパブリックで使う三者言語を上手く切り替えられずに使っている事が多い事。
一般的な学校や職場では敢えて二者言語を使う事で連帯感や親近感を育てるのに必要。
なので地方局が全て標準語で話す必要は無く、
本来なら方言バリバリで喋った方がテレビに対して臨場感や親近感が湧くことなどを説明。
国語の教育が必要なのは、場合によって一者~三者言語を頭の中で適宜変換する力を鍛えるのが主目的ですよーと。
また、日本の国語教育に足りないものとして
私は「声に出して読みたい日本語」「宮沢賢治という身体」などの著者、
斎藤孝先生(現:明治大学教育学専任教授)の元で教育学を学んだのですが
曰く、若年層から老年層まで通底して話が出来る「共通の作品(文学・詩歌・名文・名言のたぐい)」が途絶えている、ということ。
欧米では「聖書」、中近東では「コーラン」など、言語は違っても価値観として心の底に共通してあるもの
(これを「教養」と呼ぶことにして)が、日本には存在していないんですよね。(昔は教育勅語でした)
感想の押しつけ、なんかもそうなんですが、個性の多様化を容認するあまり、
「共通して存在しなければならない価値観」が崩壊して、国家としてのまとまりが無くなってくることを危惧していると直裁にお話しました。
(他国ではこれを「文化崩壊(または他国からの侵略)」と呼びます)
「価値観」がある程度まとまっているからこそ国家が同じ目標に対して存続出来るのであって、
価値観の細分化が起こるとそれぞれの独立機運が高まって国家が崩壊する。(地域紛争も同じ原理で起こる)そんな例を幾つか挙げさせて頂きました。
宮沢賢治の有名な詩「アメニモマケズ」も、ほんとうは教科書に載っている文章よりずっと長い。
死後に彼のコートのポケットから出てきた手帖に書かれた未発表の詩ですが、
教科書に載せる際に途中の重要な部分をバッサリ切っている。
作品は全体を読んで初めて真価を発揮するモノで、新聞やテレビの意図的なミスリードなども、
発言原典を全文読む人が居ないだろうという前提で行われている。(尺があるので仕方が無いんですが)
そこから本来の意味をくみ取る事を国語で教えないでどうするんですか?
という話が、、、、、一番長くなっちゃいましたね(‥ゞ(60分)
、、、そんなわけで、フリー質問タイムは若干教育方面に偏ってしまいましたが、歓談含めて楽しく会を締めくくる事がでいました。参加者の皆様にも篤く御礼申し上げます。<m(__)m>
関連