大人の図鑑カフェ

fumikuraミニプラネタリウム前史

fumikuraミニプラネタリウム前史

と、いってもたいした話ではないのですが、ひとつ小話を。

2016年1月24日(SUN)、開店フィーバーも一段落した夜20時。世間のお給料日前の寒空。ふと客席を見るとお客様はゼロ。日曜日の夜に飲みに出る方はそう居ません。
そんな事は解りきっていたし覚悟も出来ていたはずはのですが、いざ “ゼロ” という数字を目の前にすると焦るものです。

__プラネタリウム、やっちゃうか。__

もともと、fumikuraを開店させるにあたり、ミニプラネタリウム案は設計段階から組み込んでありました。天井が真っ白だったり、投影予定面に照明を配置してないのがその一つです。(壁面投影も考えていましたので、壁色は薄めのベージュを選択しています)※写真は弁当屋時代の図面から自分で書き起こした、店の基本設計です※

fumikura基本設計(修正案3番目)緑の円がプラネタリウム投影予定場所

長年の友人からはこぞってこう言いました。
『プラネタリウムじゃ客は呼べない。
 そんな無駄な予算はカットするべきだ。』

結構な反対の大合唱でしたが、私にとってプラネタリウムは長年の夢でしたので(記事:「夢見る頃を過ぎても」←読めます)、その反対を押し切って設備導入を決めていました。「月に一回だけ、給料日前の日曜日、一番お客様が入りにくい時間に。」
それを今から、“ぶっつけ本番” でやってしまおうかと。

本来なら十分に話す内容等を吟味したり、選曲や事前告知などもするべきだったんでしょう。でも、「どうせお客様もゼロなんだし、とりあえずTwitterでやってますよーってツイートだけして、自分たちの慌ただしかった1ヶ月を労う感じで投影しよう。」と決めました。
真っ暗闇になる店内、呼び込み用のサインボードも無く、外から見ると「開いてるんだか閉まってるんだか」というめちゃくちゃアヤシイ状態でした。もちろん結果は言わずもがなです(笑)それが、栄えあるfumikuraミニプラネタリウムの初投影日でした。

初投影日の店内

……と、空振りで終わったかに見えたプラネタリウムでしたが、店内投影した写真をTwitterでつぶやいていたことから、後日じわじわと反応が出てきました。
「次回はいつ投影しますか?」
というお問い合わせを頂くようになったのです。

そこで、翌月の投影案内や店頭掲出用サインボード、メニューを見られるようにするキャンドル型照明などを急いで用意することになりま、した。そこで白羽の矢が立ったのが、現在までプラネタリウム投影日に店頭に置かれている自作のサインボードでした。

決して上手とは言えない、むしろ正直に「なんだこの下手な看板」と思われるだろうこのサインボード。実は1994年の高校時代、文化祭の出し物としてプラネタリウムを上演する際に製作し、卒業後も数年間は部活で使われていた物がある年の文化祭後に返却(顔見知りの後輩が卒業する事による)され、自宅で大切に保管していたものです。

めちゃくちゃ雑ですが、当時の署名が今でも残っています

あくまでも展示物の「オマケ」として製作したものなので予算はゼロ。端材のベニヤ板につや消しの黒ラッカー(余り物)で下地を塗り、コンパスと分度器で下書きをした箇所に蛍光塗料・蓄光塗料(余り物)でフリーハンドで描いたのがこのサインボードです。散らばる星は釘の先端でテキトーにぽんぽんしたので微妙に楕円ですし、ゾディアック(12宮区分)もマスキングをしなかったもんだから、今では考えられないほど “ド下手くそ” なものになりました。でも、ブラックライトを照らせばそれなりに目を引くかもしれない。何よりも「人に歴史あり」を地で行く生き証人です。思い入れが無いはずもありません。

1994年当時ブラックライト照射写真

制作当時にはこの下部に「ON AIR」「STANDBY」という、上映中/準備中をあらわずアクリルボード(自費制作)が吊り下げられていましたが、返却時には既に行方不明になっていたとのこと。それはそれで致し方なしですが、折角縁があって手元に戻ってきたこちらのサインボードだけでも、と。現在に至るまでミニプラネタリウム投影日に店頭でお客様にご案内する役目を受け継いでいます。

「1994年文化祭開場前の受付風景」サインボードの下がる暗幕の右手に入口がありました

文化祭のプラネタリウムで1989-1994まで6年間の文化祭をプラネタリウム解説に捧げることになった話は2016年の記事「テンタカクウマコユルアキ」(←読めます)で書いたとおり。
そしてその後、最初の投影機「HOMESTAR EXTRA」1台体制から、様々増えて現在は5~6台稼働体制になり、他のLED天体模型などもあわせて店内も随分と賑やかになりました。音大生やyoutuberさんの生演奏や、役者さんの朗読劇などのイベントなんかもありました。コロナ禍でのイベント中止要請にあわせて中断やInstagramライブ配信などを挟んだ時期もありましたが、投影日は相変わらず月1回給料日直前の日曜日、営業時間の最後2時間(現在は時短営業中ですので20:00-22:00)と決め打ちで、ゆるゆると自分の1ヶ月の働きを労う感じで続けています。※5周年記念MEGASTARプラネタリウム動画(←見られます)※

現在はブラックライトの照射をしていませんので、暗闇に紛れて見えないかもしれませんが、投影日は昼頃からこのサインボードが店頭に登場します。昼にこのボードを見かけた際には、夜に星空を眺めながらの一杯、思い出して頂けたら嬉しいです。

※給料日は25日を想定。もちろん官公庁やその他支給日が違うところもたくさんありますよね。