大人の図鑑カフェ

カフェとアパートメントの素敵な物語

カフェとアパートメントの素敵な物語

ここのところ、書評担当のハズのfumikura Twitterでもまともな書評が書けていなかったのですが、いざ書いたら長文になってしまったので久々に「知ってほしい本のコト」カテゴリーでの投稿になります(‥ゞ

京都の疏水の脇にある、現役バリバリのアパートメント。大正の末年より此処に在り、いつの頃からかよろず人の集まるアパートメントとなった。正面の枝垂れ桜の色濃さと相まってある種妖艶な魅力を纏っている。

かく言う私も、丁度満開の枝垂れ桜と朽ちつつもありそうな佇まいに圧倒されて、思わずシャッターを切っていた。訊けば、増築を繰り返されて迷路状の構造に加え、住人が変わる度に内部も自分好みにカスタマイズされるそうで、日々、その怪しさは気まぐれに変化までするらしい。まるで、生きているアパートメントだ。
非公開の物件なので場所の詳細は避けるとして、近くの公開されている洋館を訪ねる際の通り道なので、洋館に詳しい方なら名前も出て来るでしょう。

この物件の毒気にあてられて惑う方も多いようで、風呂無し、共同トイレの物件にもかかわらず、入居希望者は後を絶たないんだとか。なので、順番待ち制ではなく、空いた時だけ募集を掛ける方式となり、運の良い人は待たずに運の悪い人は何年も、という。どうやらアパートメント自身が居住者を選んでいる節があるそうな。ちょっと都市伝説みたいな話ですが、住んでみたいかなと私も思いました(^ ^)

さて、なぜそんな物件を?という問いに、一冊の本が絡んで来ます。
ジャンルで言えばカフェ探訪のエッセイ集なのですが、数珠繋ぎに店主やデザイナー、物件が縦糸横糸を張り巡らせるように織り込まれ、やがて一冊の小説を読んだような読後感に至る。そんな素敵過ぎるカフェ本の中心軸が、まさにこのアパートメントだったから。そう、ようやく本の登場です(^_^)


本の名は「京都 カフェと洋館アパートメントの銀月物語」。著者は川口葉子さん。

東京にも元職場のまん前に、そのような下宿物件があったのですが、そちらもどのような奇縁を結んで来たのか、ちょっと興味がありますね(^ ^)
いずれこちらで、そのような本と共に紹介できると良いのですが。
最後に、こういった名文でfumikuraも紹介されてみたいですね。登場するカフェを読んでいると、烏滸がましさに身が竦む思いですが、、、いずれは、という想いで頑張っていきたいです。