大人の図鑑カフェ

三ツ矢サイダーミュージアムに行って来ました

三ツ矢サイダーミュージアムに行って来ました

img_1473「ぼくなつフェア」あたりからお気づきかと思いますが、店長は尋常ならざるぐらいにサイダーに狂っています。地サイダーを飲み歩いている事は既に「ぼくなつフェア」で書いていますが、小ロット生産して頂ける飲料会社さんとも既にコンタクトを取っており、先々の夢として「fumikuraサイダー」を作ってしまおうかと本気で思っているぐらいには狂っています。ええ。狂おしいほど好き、なんです。店のラインナップに三ツ矢サイダーが夏だけ登場するのも、「サイダーは青春飲料」との勝手な想い入れからですので、本当は通年販売してもいいかな、、、とも思っていますが、、、そこはグッと我慢して、来年も夏だけの限定販売で参ります。青い空に白い雲に、夕立に虹で花火でサイダーなんですよ。(なにが言いたいのやら、、、)

「当然、三ツ矢サイダーの工場も行っているんでしょうね?」と問われたことも有りました。

「、、、すみません。まだです、、、。」

、、、だって、、、【瓶の生産ラインが有るのが兵庫県の明石工場だけ】なんですもん。遠いよ、、、。

img_1472しかしアサヒ飲料明石工場には【三ツ矢サイダーミュージアム】という展示ブースが有る!と聞いて、「是が非でも行きたい」「機会があればすぐに行きたい」ということで、まとまった休みが出来た例の慶事休業(なんか出汁にしたみたいで兄には大変申し訳ないんですが)に、夜行バスをすっ飛ばして速攻で行って参りました。(事前予約が必要/最低2名から)

最低2名から、、、(大事なことなので2度書きました)

11月1日は、09:30の初回と16:00の回しか空きが無いとのことでしたので、朝一の回を予約していました(もちろん二人で)。08:30位には到着していたのですが、待てど暮らせど他の見学者が来ない。

「、、、ごめんなさい、今日ツレが急に病気になりまして。」(苦しい)

『、、、では、少し早いけど始めちゃいましょうか。今回はお客様(お一人)だけなので、、、。』 丁寧にお辞儀をされ、40~50人は入れる映像ホールに一人でポツネンと座る。、、、所在が無い。映像が終われば今度は三ツ矢サイダーの歴史が紙芝居で始まります、、、。

お姉さんゴメンナサイ。嘘ついてほんっっとにごめんなさい。とは心の底から思いました。でも反面で「この状況、美味しい」とも思ってました。最低。なので、ここでキチンと「book cafeブログのネタ集めです」と正直に出自晴らしをして、「サイダーが狂おしく好きなこと」「店で三ツ矢サイダーを扱ったり、同じアサヒ飲料系列のウィルキンソン(炭酸と辛口ジンジャーエール)や余市(ニッカもアサヒ系列です)も扱っていること」などを話しながらより突っこんだ話題へ。他に見学者が居ないので、子どもが居たり他の見学者が居たら出来ないような質問をたくさんさせて頂きました。

現在開催中の【王img_1475室と皇室フェア】でも書きましたが、三ツ矢サイダーは宮内庁御用達の品です。もともとは「平野水」と呼ばれ、同じ兵庫県は川西市平野にある平野鉱泉(炭酸泉)を宮内省が御料工場として直轄経営していたんです。その頃はただの炭酸水だったのですが、その後三菱に払い下げられたり明治屋が引き継いだりしたあたり(三ツ矢平野水)で夏目漱石らに愛飲されます。現在のように味が付いたのは帝国鉱泉時代(三ツ矢シャンペンサイダー)からです。このシャンペンサイダー時代には宮沢賢治もご愛飲。また出ましたよ宮沢賢治。この人も私の趣味の行く先々で顔を出していますので、ちょいと同族嫌悪気味だったりもします(身の程知らずな物言いですね)。戦前戦後のドサクサ期には根津嘉一郎(東武鉄道)が一枚噛んでいたり、合併分割など色々あって(そのあたりはwikiを参照のこと)アサヒ飲料が引き継いでいます。

img_1480さて、キナ臭い話は横に置いておいて、地方の地サイダーと三ツ矢サイダーの怪しい(おいしい?)関係について触れておきましょう。地サイダーは基本的に地元密着の小資本なので、自前で瓶を用意することが出来なかったりしました。特に戦後の資源難時代なんかは特に難しかったようです。そのためにどうしたかと言えば、、、三ツ矢サイダーの瓶をパクってそれに自前のラベル貼って王冠で栓して出してました(笑)三ツ矢にとっては笑えない歴史です。実を言うと今でもそういう地サイダーもたまにあって、一昔前の三ツ矢瓶に出会えて瓶マニアにとっては嬉しかったりもするのですが、お姉さんは「正直そこはコメントしづらい、、、」と仰有っていました(笑)現在でも自力資本で瓶を作れない地サイダー業者さんもたくさん居て、最近のペットボトルやワンウェイ瓶の普及から、リターナブル瓶と気づかずに捨てられ、戻ってこないために廃業に追い込まれるケースも出てきています。(これはクラフトビールのブルワリーでも頭を抱えている問題の一つだそうです)大手さんその辺りはちょいと目をつむって、、、とは、さすがに言えませんでしたけど。また、他の見学者さんからも「昔の瓶は復刻しないんですか?」との話は良く出るそうです。なで肩瓶ではなくて、ボルドー系ワインボトルのような懐かしい丸みを帯びたあの形。ここでまさかのお姉さんから逆質問「復刻したら、、、売れますか?」。断言しましょう「メッチャ売れます。」。

img_1483現在の瓶飲料のほとんどはいわゆる「ワンウェイ瓶」で、そのままリサイクルゴミとして捨てられることが多いですが、昔はビール瓶などと同じく、酒屋さんが回収して工場に戻す「リターナブル瓶」でした。酒屋さんに持っていくと幾らかお金が戻ってきた時代です。いわゆる王冠栓でシュポンッってのがリターナブルで、ペットボトルのような金属のねじりキャップでグリグリやるのがワンウェイだと思って下さい。現在も瓶三ツ矢やウィルキンソン炭酸・ジンジャエールはリターナブルですが、それ故に居酒屋さんやレストラン、喫茶店などでしか瓶三ツ矢を見かけることは無くなりました。だからこそ、、、なんでしょう。ウィルキンソンの辛口も、三ツ矢サイダーも、瓶のまま提供するとかなり喜ばれます。特に「ぼくなつフェア」で三ツ矢を出したときは大いにウケました。まぁ、サイダーマニアの贔屓目も入っていましたが、出数の問題を抜きにしても「瓶かわいい」「瓶懐かしい」という感想は数多く頂きましたよと、伝えておきました。復古してくれたらいいのになーとは思いますが「あの形は瓶洗浄(瓶洗機)がえらくやりづらい」という話も他から伺っているので、たぶん復刻は無理でしょうなぁ、、、せめて三ツ矢の刻印(凸印)と紙ラベルだけでも復活すればかなりの人が群がるとは思います。、、、思います(小声)。

さて、肝心の瓶飲料の製造工程ですが、、、製造数と見学者の不人気からなのか、奥の見えないラインで製造されていましたので、映像資料のみの見学でした。残念。(コカコーラの工場でもそうだったんですが、缶飲料やペットボトル飲料は設備が最新式なのに比べて、瓶飲料はどうしても時代の先端とはかけ離れているからなのか、、、企業的には「見せ場」ではないと判断されている気がします。穿ち過ぎですかね?)

一通り見学を終えたら試飲(もちろん三ツ矢をお願いしましたがペットボトルでした)タイム。普通はここで見学者の歓談タイムになるのですが、なにせボッチ見学ですから、必然的にお姉さんへの質問タイムになります。

まず第一に聞きたかったのは平野鉱泉の源泉は現在も使用しているのかということ(水マニアにはここが大事)。全国規模となると一つの源泉だけでは到底追いつかないことは解っていながらの質問ですから、かなり意地が悪いと言えます。結論ドン。「無理です。」ですが、源泉は現在も保護地区に指定され、御料飲料の施設と共に現存しているとのこと。そして、現在も僅かながら河床から炭酸の気泡も確認できるそうです。日本全国総アスファルト舗装の中、湧水や源泉を保っている方が珍しいです。これは朗報ですね。

img_1655続いてドン。「ウィルキンソン」も同じ炭酸水ですが、なぜ平野水と別ブランドなんでしょうか?(実は工場見学の直前までウィルキンソンがアサヒ飲料だと知りませんでした。てっきり外国製の物を輸入販売しているのとばかり思っていましたが、、、工場見学中にウィルキンソンの源泉は同じく兵庫県の西宮市で、宝塚市でボトリングした上で当初は「仁王水」という名前で販売されていたとの解説があった。)これは愚問ですよね、単純に元は別会社でした。その後、海外向けに発売するにあたり「ウィルキンソン」と名を変えたのだそうで。創業者はイギリスの方でした。三ツ矢も鉱泉を発見したのはイギリスの方なんですが、面白い縁があるものですね。(こちらの源泉は涸れてしまったとのこと。残念です。)

最終砲火は「沖縄バヤリース」、、、ですが、お姉さんが泣いてしまいそうなのでココでは書きません。大丈夫。元鞘に収まっています。(wiki参照)

あとは穏便に、ダイドードリンコで発売された「復刻堂・三ツ矢サイダー(2007,2010)」(アサヒ飲料との共同事業)が好きでした、だの、1995年頃の白の缶三ツ矢に「緑矢(ホワイトソーダ)」「青矢(通常のサイダー)」「桃矢(ピンクソーダ)」も好きでした、なんてな話に。途中から上司の方も出てきて、どれだけマニアックなんじゃって話に。基本的に、最近の糖質オフやゼロ系統が好みでは無く、デロ甘ぐらいの昔の甘みが好きなんです。お姉さん、面倒な人に当たって済みませんね。たぶんドッと疲れたでしょう。お土産ちゃんと買いましたんで許して下さい。密度の濃い見学内容でした。

img_1476img_1477img_1478ミュージアム内に展示されていた御料品製造所時代の設備(瓶詰め機、足踏み式打栓機、足踏み式ラベル貼り機など)がかなり時代掛かっていて大興奮です。更に、シャンペンサイダー時代からの歴代瓶コレクションも本家ならでは!木箱も冷蔵庫も良いですね!

という具合に最初は申し訳ない気持ちが先に立ちましたが、最後は色々巻き込んで喋りまくりでした。遠くまで来て良かったです。帰りがけにお姉さんからもう一本サイダーを頂きました。最初から最後まで本当にありがとうございました。一層三ツ矢サイダーが好きになりました(^_^)

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